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2017.05.07
準硬式野球

【準硬式野球部】チームの危機救った!! “捕手”大野が3投手好リード

5月7日 東都大学準硬式野球春季リーグ戦 対東洋大学2回戦 スコア 3-2 ダイワハウススタジアム八王子


 専大が東洋大相手に接戦を制し、対戦成績を1勝1敗に戻した。

 2点を先制して迎えた6回、6番・五十嵐健(経済2・常総学院高)のタイムリー二塁打で1点を加えるとこれが結果的に決勝点となった。先発の山口寛太(法2・金沢市工高)は緩急を使って6回2失点の好投、その後は継投で逃げ切った。また、3回にはキャッチャーの神山琢郎(経営4・県岐阜商高)が負傷退場するアクシデントに襲われたが、かわりにマスクをかぶった大野が投手陣をリードし、チームのピンチを救ってみせた。

▲試合に勝利し、阿部拓とハイタッチを交わす大野(撮影=大河原)

 

<スコア>

専 大 |2 0 0 |0 0 1 |0 0 0|3

東洋大 |0 0 0 |0 0 2 |0 0 0|2


1(左)須永隼人(商1・専大松戸高)

2(右)福井亮太(商4・県岐阜商高)

3(二)今坂僚介(ネット情報4・常葉菊川高)

4(捕)神山琢郎(経営4・県岐阜商高)

5(一)大野恵和(経営3・専大松戸高)

6(指)五十嵐健(経済2・常総学院高)

7(三)山口剛史(商3・伊勢崎商高)

8(遊)杉山滉生(経済3・専大北上高)

9(中)上野滉平(商2・県岐阜商高)

P   山口寛太(法2・金沢市工高)

▲初回、先制のホームを踏んだ須永(撮影=飛田)


 チームにとって最大級の危機である、そのことは誰の目にも明らかであった。


 2点リードで迎えた3回の攻撃、チャンスで回ってきた神山の顔面に自打球が直撃。その場に倒れこんだ神山は担架で運ばれ、負傷退場を余儀なくされた。ここまで攻守の要としてチームをまとめてきたキャプテンの退場、チーム内に動揺が広がるのも無理はなかった。

いったい誰が代わりのキャッチャーをするのか……白羽の矢が立ったのは、なんとこの日ファーストで先発出場していた大野だった。

「もしものことがあったら自分がキャッチャーとして出るという決まりはありました」と試合後に話してくれた大野。確かに練習試合でマスクをかぶることはあったが、これまでの公式戦で大野がキャッチャーとして出場した試合は1つもなかった。

 「正直なところ、全く心の準備はできていませんでした」

それでも、誰かがやらないといけない、キャプテンのためにも絶対に勝ちたい、大野は覚悟を決めた。また、3回の守りからファーストには阿部竜希(経済4・専大北上高)が入った。

▲公式戦初のキャッチャーの守りに就く大野(撮影=大河原)


 高校時代もファーストのポジションに就くことが多かったという大野。それでも試合中はキャッチャーとしての能力の高さを見せつけた。

 その前のイニングでは満塁のピンチを招いていた山口寛をリードし、相手打線を三者凡退で抑える。「配球やリードのことは投手陣に助けてもらった」と大野は謙遜していたが、山口寛―大野のバッテリーがチーム内に漂う不安をみごと振り払ってみせた。

▲味方とハイタッチを交わす山口寛と大野(撮影=飛田)

 6回、先頭の今坂がセンター前ヒットで出塁すると、神山に代わって4番に入った阿部竜がバントでチャンスを広げる。続く大野は打ち取られるも、6番五十嵐が外角低めの球を逆方向へ弾き返すタイムリー二塁打を放つ。初回以降無得点に抑えられていただけに、五十嵐のタイムリーは大きな意味のある追加点となった。

▲追加点となる二塁打を放つ五十嵐(撮影=大河原)

6回タイムリー二塁打 五十嵐のコメント

「今までチャンスの場面を何度もつぶしてしまっていたので、今度こそ『自分が決めてやる』という思いをいつも以上に持って打席に入りました。外角低めの直球でしたが、体を外に開くことなくいい打球を飛ばせました。やっとチャンスの場面で打てて素直にうれしいです!」


 6回を投げて2失点にまとめたところで、ピッチャーを山口寛から岡本和記(商4・金光学園高)にチェンジ。2アウトまではすいすいと抑えたが、際どい内野安打と2つの四死球で満塁のピンチを迎えてしまう。ヒット1本で逆転、という場面だったが、岡本和はここをセカンドライナーに抑え、無失点で切り抜けた。


▲ピンチを0点で抑え、笑顔でベンチに戻る岡本和と大野(撮影=飛田)


 続く8回も0点に抑えた岡本和。先頭打者を打ち取るも、続く打者にはライトへの二塁打を許し、再びピンチを迎えた。最終回、リードはわずかに1点。この場面で、ベンチは昨日の試合で先発した阿部拓磨(経営3・専大松戸高)を送り込んだ。

 阿部拓にとっては昨日のリベンジとなるこの登板、「正直厳しい場面でしたけど、山口と岡本さんがつないでくれたので何とか抑えようと思って投げた」と1アウト2塁の場面をライトフライ、空振りの三振に打ち取って試合を締めた。


▲昨日から連投となった阿部拓が最後のバッターを空振りに打ち取り、拳を高々と上げた(撮影=大河原)


 大野はゲームセットの瞬間までマスクをかぶり、山口寛、岡本和、阿部拓の3人をリードしてわずか2失点に抑えた。思わぬ形で巡ってきた捕手としての起用だったが、最後まで大役をこなし、ボールを後ろに逸らすなどのバッテリーミスは1つもなかった。3投手と大野でつかんだ、大きな大きな勝利だった。

 大野は試合後「ひとりひとりが自分の役割を考えて動くことができた。今までで1番意味のある勝ちだった」と話している。終わってみればスコア3-2と、よくある1点差のゲームだったことには間違いない。しかし、キャプテン神山の負傷というアクシデントを乗り越え接戦を制し、チーム全員で得た今日の勝利は、チームにとっていつも以上に大きな1勝となった。


◎1年生須永、自身初の4安打!

 ここのところ、3試合連続で1番に起用されている須永。1年生ながらスタメン起用されている須永が4安打を放ち、存在感を放った。

 初回、レフトへのヒットを放ち、先制のホームを踏むと、第2打席でもセンターへヒットを放つ。7回にまわってきた第4打席ではセンター方向への二塁打で猛打賞を達成。9回にも打席がまわってくると、「3本ヒットを打っていたので際どいところに来ると思っていた。思い切り振りぬくことを意識した」と内野の頭を越えていく4本目のヒットを打った。公式戦では初めての4安打、1年生の須永がリードオフマンとしての役割を果たした。

▲9回 この試合4本目のヒットを記録した須永(撮影=飛田)


◎神山先輩がいなくても……

 今季3勝目をあげた先発の山口寛。キャッチャーの神山がケガで交代したことで、自身の思いにも変化があった。

「今日は自分で神山さんのリードを思い出して考えながら投げました」。

いつもはキャッチャー・神山にリードを任せていた山口寛だが、キャッチャーが大野に代わってからは自分で投球を組み立てた。神山先輩がいなくても自分が点差を守ってみせる― 大野もワンバウンドした球をしっかり受け止め、山口寛の投球に応えた。

▲6回を2失点に抑えた先発の山口寛(撮影=大河原)


試合後のコメント

今坂副主将

「神山がケガで抜けてしまいましたが、そのことでチーム全員が自覚して結束が強くなりましたね。大野は今後のためにも練習はしていたんですけど、公式戦でのキャッチャーは初めてでした。その中で今日勝てたのは大きいですね。(先発の)山口寛はキャッチャーが代わっても変わらず良い投球ができていました。打線は5番6番に頼り甲斐が出てきましたね。リーグ戦でここ最近上位に入ることができていないので勝ち点を取って上位に入れるように次も勝ちたいです」


今季3勝目を挙げた山口寛

「大野さんとバッテリー組んだのは何ヶ月か前の練習試合が最後だったと思います。今日はカーブなどの緩急を使って抑えることができたので良かったです。(6回の失点について)体力面ですね。直球を狙っている相手に球が高めに浮いてしまいました。重要な試合だったので勝てたのは大きいですね。次も投手全員で投げ切って勝ちたいです」


2試合続けての好リリーフで勝利に貢献した岡本和

「神山という中心選手が抜けてしまい、どうしようかという雰囲気にはなったんですけど、4年生を中心にその穴をチーム全員で埋めていこうと皆が意識する事ができました。試合中はいつも神山に引っ張ってもらっている中で、今日は自分が大野を引っ張ろうと思っていました。大野は堂々としていて、本当に頑張ってくれましたし、その頑張りがこっちにも伝わって抑えることができました。本当は試合の最後までいきたかったですけど、後ろには阿部拓がいたので任せることができました。チームは阿部拓、山口寛の完投が多いけれど、こういう勝ち方もできる。3人でつないで抑えることができて良かったです」


ピンチの場面で登板、試合を締めた阿部拓

「山口寛が交代してから準備はできていました。苦しい中で抑えられて良かったですし、勝つことができてとても嬉しかったです。1試合でも多く試合をしたいので勝ててホッとしています。大野とは過去に組んだこともあるので普段通りに投げることができました。キャッチャーの大野ですか?いいと思います、絶賛です!」


好リードでチームを勝利に導いた大野

「キャッチャーの準備は正直していなかったので、ベンチの声やピッチャーに助けられました。ものすごく緊張しましたが、ピッチャーに声をかけることだけは忘れないようにしました、無我夢中でしたね。リードのことや分からないことはピッチャーが補ってくれました。神山さんがいない中勝てたのは大きな経験になったし、みんな良い経験ができたと思っています。何より勝てて嬉しかったですしホッとしました。次の試合もお互いをカバーし合い、チームワークで勝利をつかみたいです」

(飛田翼・文3)