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〈令和6年度東都大学野球春季2部リーグ戦=4月12日 等々力 専大5-8 拓大〉
専大が拓大に昨日に続いて連敗を喫し、開幕カードの勝ち点を献上した。勝てば勝ち点を獲得する重要な一戦。初回に4番の西里颯(経済4・興南)が左前適時打を放ち先制に成功するも、5回に先発の肥沼竣(商4・加藤学園)らが適時打を浴びて一挙4点を取られ逆転される。さらに6回にも3点を奪われリードは7点に。終盤8、9回の攻撃で点差を3に縮めるも、反撃はここまでだった。
▲6回ウラ、田村選手に2点適時三塁打を浴び7点差とされた石井夢沙士(奥)、加藤大悟(手前)バッテリー
「5、6回に(守備も攻撃も)悪いところが全部出た」。小柴滉樹主将(経営4・佼成学園)の一言に尽きていた。専大は中盤の2イニングで計7失点を喫し、試合の大勢を決められた。
5回表の攻撃、2番の山田太成(経済1・大阪桐蔭)がチームとして2回ぶりの安打となる中安で出塁する。しかし、次打者の小柴の3球目に飛び出し1塁憤死。タッチアウトで攻撃を終え、流れが相手に傾いた。
▲5回表、2番小柴が空三振に倒れ、一塁走者の山田が捕手からの送球に戻れず憤死となりダブルプレーを喫する
するとその裏、粘投を続けていた肥沼が崩れた。先頭の杉山選手に意表をつかれるセーフティーバントで出塁を許すと、続く石田選手に四球を選ばれる。1死後に申告敬遠で満塁策を取るも、5番の加藤選手に「球が上ずった」と甘くなったところを捉えられ、一塁線を鋭く破る2点適時二塁打。「3ボールにしたことが良くなかった」と3球目に投じた1球を悔やんだ。ここで右腕はマウンドを降り、「(自陣の)前の攻撃が悪い流れだったが、先頭を出してしまった。試合状況とか流れというところはもう4年生なのでしっかり意識してやらないといけない」とチームにリズムをもたらすことができなかったこのイニングを悔いた。
▲肥沼は3巡目を迎えた5回に崩れた
さらに大きな痛手となったのは6回。投手を石井夢沙士(経済3・秋田)、捕手を加藤大悟(経営2・専大松戸)とバッテリーごとスイッチするも、1死から連続四球を与える。ピンチが広がった場面で3番・田村選手に3球目を完璧に捉えられ、左中間を深々と破る走者一掃の適時三塁打を浴び6点ビハインドに。さらに昨日に続きマウンドを任された玉木稜真(経営1・東海大星翔)が暴投して1点が加わり、大きく突き放された。特に、代わりにマスクを被った加藤大悟は2番・石田選手の初球、5番・加藤選手の4球目にパスボールし、走者の進塁を許してピンチを招いた。「流れを変えようと入ったが、より一層悪くしてしまった。(打たれたのも含め)全部、自分のせいです」と言葉少なに俯いた。昨年はルーキーながら正捕手の座を守った背番号22。気持ちを一新して再び扇の要を担う。
▲連続四球からの適時打を浴び、苦しい投球となった石井
▲途中出場の加藤は試合後に猛省。チームに欠かせない戦力として、次戦に切り替える。
ただ、後半戦は今季のチームの良さである粘り強さを発揮し、爪跡を残した。7点を追いかける8回、ヒット2本と四球で無死満塁と絶好のチャンスを創出し、途中出場の渡辺維介(文1・松本国際)に打席が回ってきた。「監督が振っていいみたいなジェスチャーをしていたので」と3ボールからの直球を迷わず強振。打球は左翼線への鋭いライナーとなり、走者2人を迎え入れた。「とにかく繋ぐ意識だった。ボールを絞って、振った結果で、素直にうれしかった」と振り返った。昨日、リーグ戦初出場ながら初安打をマークし、今日は初打点の大物ルーキー。「とにかく自分の仕事を全うしたい」とチームに全身全霊で貢献していく。
▲8回表、松本が左翼線に2点適時二塁打を放つ。前日からの勢いが止まらない大物ぶりをアピールした
さらに最終回も途中出場の2番・松永知大(経済3・創成館)がセンターへ適時打を放ち、3点差に。続く小柴も執念の内野安打で繋ぎ、1死1、2塁の場面を迎えるも後続が続かず。それでも、チーム一丸で繋ぐ攻撃を見せ、今季のチーム”らしさ”は見せた。「たらればになってしまうけど、最後の最後まで諦めず、最小失点でいけてれば、ああいう展開に持っていける」とキャプテン。終盤に良さを出せたからこそ、中盤の大量失点を重く受け止めた。
▲スタメン落ちを喫し、途中出場だった松永は詰まりながら中安とした
▲ヘッドスライディングで内野安打とした小柴。勝利への執念を体現し、チームを鼓舞した
開幕戦は激戦を制し、好スタートを切るも勝ち点を奪えなかった専大。「もう本当に後がない、勝つしかないし、次に繋げていくしかない」と小柴は言葉を絞り出した。次節こそ勝ち点をもぎ取るためにー。チームの1人ひとりが危機感を持ち、再出発する。
▲中盤目立った攻守のミスについて、「やっぱり1人ひとりに問題があった。自分事としてしっかり受け止めて、次につなげていかないといけない」と話した小柴。より一層、チームを引き締める
▽今季初ヒットを含む2安打をマークした吉水真斗(経済2・松商学園)
「2戦目が終わっても打てていなかった中で、ずっと1番で使ってもらっていたので、今日は絶対打ってやろうという気持ちだけでした。
(2安打の要因は)今日は朝からバッティング練習してきましたし、体の状態的には良かったので、しっかり準備して入れました。
(ここ2日間意識したこと)いつも通りのプレーができれば、今は自分の中での状態はかなり良いと思ってるので。いつも通りやるってことだけ意識してます。
(これから)今日の最終打席に三振してしまって、もし1本出せていたら、勝てたかもしれない。爪の甘さが自分の中でもまだあるので、 次からも自分の役割をとにかくこなすってことを意識して、全力で泥臭く頑張っていきたいです」。
▲吉水真斗
▽先発した肥沼竣(商4・加藤学園)
「一巡目までは結構良い感じに抑えられていた。昨日、中野(=挙志朗、文3・小浜)と話して、こういう風に攻めていこうみたいな感じでやって、それ通りにできたんですけど。2巡目からだんだん崩れてきて、うまくバッターと勝負できてなかったのでそこが反省点。
(粘りの投球をしていたように見えたがどうだったか?)できれば本当は出したくないんですけど、出してしまっているので、まずそこは反省なんですけど。それでも要所要所を締められてはいたので、そこを次からしっかり意識して抑えられるようにしたい。
(5回について)
(適時二塁打を打たれた加藤選手の打席)ちょっと3球目のカーブがボールになったのが良くなかった。自分では良かったと思うんですけど、半分ボールになってしまった。まっすぐに張られていた分、ほかの球で勝負できればと思った。3ボールにしたことが良くなかった。
(勝ち点を落とした)もう終わってしまったので切り替えるしかない。残りの試合を全勝するつもりで、優勝を何とかできるようにしたい。先発としてチームに交換できる投球をできるように準備したい」。
▲肥沼竣
文=河上 明来海(文4)
写真=増田 美海(文4)