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2024.04.06
野球

【野球部】春季リーグ戦開幕直前「鍵を握る男たち」⑤【奥村開】

今年で創部100周年を迎える野球部の春季リーグ戦がまもなく開幕。悲願の1部昇格に向けて、チームの命運を握る男たちの声をお届けする。第5回目は奥村開(経済4・福井商)。齋藤正直監督は奥村、常田唯斗(文4・飯山)、肥沼竣(商4・加藤学園)、平田健眞(経営4・専大松戸)の4人を今季の投手陣の軸に挙げている。(※インタビューは春季キャンプ中(2月)に行いました)


奥村開 完全復活で迎えるラストイヤー

▲大ケガから復活を果たし、今季の躍進が期待されている奥村



〇昨秋デビューの剛腕右腕

剛腕が完全復活のフル回転を誓った。「自分が絶対的エースになるっていう気持ちを持っている。やっぱり150キロ以上、155ぐらい出したいと思う」と力を込めた。昨秋のリーグ戦中盤でデビューを果たすと、中継ぎに定着し6試合に登板。常時150キロに迫るストレートを軸に打者を押し込み、強烈にアピールした。

▲剛腕は今季のフル回転を誓った



〇大ケガで離脱、1年間の鍛錬

待望のデビューを果たすまでの2年半、奥村は壮絶な苦悩と闘っていた。1年次の2月、肩が悲鳴を上げた。病院を受診すると、投球動作において上腕骨と肩甲骨がぶつかることによって痛みが起こる「インターナルインピンジメント」と呼ばれるケガが判明。一般的に腕をしならせる投げ方や腕を上げていく際に肘から先に出すフォームの投手に多いと言われている。「(肩関節の)靭帯も鍵盤も切れていてボロボロ。長年の負担が蓄積していた」と声を落として当時を振り返った。そこから4か月、保存治療のためボールを投げることもできなくなり、別メニューに。しかし、夏になっても万全な状態には戻らず、思うように投げられなかった。そして秋、一般的には珍しい、肩のトミー・ジョン手術を受けることを決意。下肢の靭帯を肩に移植した。「そこから10か月はずっとリハビリ。1年後にどうにか復帰するためだけにやっていた」と3年秋のリーグ戦での登板を目標に、必死に努力を重ねた。

▲ケガでの離脱、長きにわたるリハビリ。苦しんだ時期を回想した



〇待望の復活

地道な鍛錬が実を結び、2023年9月13日に右腕は有言実行を果たした。背番号33を背負い、マウンドに登場。「ほんとに、ほんとに良かった。そのためだけにやっていたから」と目標を遂げた喜びは忘れられない。結果的に3年秋は6試合に登板。うち1試合で待ちわびた初勝利も挙げた。

▲有言実行を果たし、重ねた努力の報われを実感した喜びは忘れられない


〇今年に活かす覚悟

一方で、投げられたからこそ味わった悔しさがあったという。「(自分の力が)全然、通用しなかった。たくさん投げられたけど、チームに何1つ 貢献できなかった」と自らを厳しく評価した。そんな昨年の登板経験を糧に、「絶対この春のリーグ戦はやってやろうと思っている」と賭ける想いは強い。日頃の練習では内なる自分と戦い続けており、「 練習でしっかり自分に勝つことが大前提。それで(試合で対戦する)相手に勝てると思う」と奮い立たせる。

▲「全然戦力になれなかった」と同時に悔しさも感じた



選手生命が危ぶまれる大ケガから復活を果たし、エースに名乗りを挙げた右腕。最後の1年を万全な状態で迎え、チームの柱となる。




文=河上明来海(文4)

写真=高橋尚之さん(令6・経営卒)、河上