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〈第96回日本学生氷上競技選手権大会スピード競技=1月5日~7日 高崎健康福祉大学伊香保リンク〉
スピードスケート部門のインカレは2日目に入り、1000mと5000mが行われた。個人戦の最終レース日に専大からは6名が出走。思い通りに得点を積み重ねることができなかった初日の巻き返しを狙ったが、唯一の表彰台がリンクレコードを上回るタイムで準優勝を遂げた野々村太陽(経営4・白樺学園)のみとなった。その他のレースでは今大会早くも3人目の失格者が出るなど専大の4連覇に黄色信号が灯る厳しい結果となった。
▲ 1000mで準優勝だった野々村。この日唯一の表彰台となった
エース兼主将でチームを率いる野々村は苦しい状況での出走となった。1000m、5000m共に失格者を出し、チームが点数を稼ぐことができなかった中での最終組。同組の高崎健大・山田選手に勝つことを絶対条件とし出走した。600mまで順調に滑走し1位のラップタイムをマークするも、最後の1周でトップを譲る形に。リンクレコードを更新するタイムを記録するも山田選手にわずか0.1秒及ばず準優勝となった。「優勝を目指していたのでそれを逃して悔しい」と第一声を発すると、「僅差だからといって惜しいという気持ちはない。ライバルである和哉(山田選手)に勝ち切りたかった」と心から悔しがった。敗因について「相手がインナーラインでフィニッシュすることが元々わかっていたので、前半から飛ばしていった。ただそれでも負けてしまったのでもっと前半から差をつけておく必要があった」と分析した。
▲相手の山田選手は中高が同じで常に切磋琢磨しているライバル。前半はリードするも、ラスト1周で逆転され、ゴールは同着となるも0.1秒及ばなかった
ライバルに敗れた悔しさもあったが、それ以上に優勝を逃したことに唇を噛むのには理由があった。昨日の1500mで「人生で初めて」という失格を経験。「主将としてチームでも種目でも率先してポイントを取っていかなきゃいけない立場だったので責任が重かった。今日は何が何でも優勝して良い雰囲気をチームにもたらせるように」と並々ならぬ覚悟を持ってレースに臨んでいた。
▲昨日は人生初の失格を経験。初めて滑るリンクで僅かな感覚の差に違いがあった。それでも「どんな環境に対応しないと」と自分を責めた。
それでも滑走前には怖さがあったと話す。直前の組で後輩の軍司 一冴(経営1・白樺学園)が自身と類似した失格となり、「余計に怖さがあった」と振り返った。
▲心に若干の怖さがあったことが結果にもやや響いた
また、5000mでは林拓磨(経営1・白樺学園)が失格になるなど厳しい展開となり、菊池健太(経営3・白樺学園)が4位、笠原光太朗(経営2・帯広三条)が7位とそれぞれ入賞するも全員が表彰台を逃した。大会を通して3人が失格になるという前代未聞の事態となり、点数の取り逃しが重くのしかかった。
▲コーナーでコーンに触れてしまい、ほろ苦いインカレデビューとなった林。「レース内容は悪くなかっただけに失格になってしまったことは悔しい」と語った。
試合後、近藤太郎監督の口調は厳しかった。「自分も含めて、チーム全体に『自分たちは強いから』という油断のような雰囲気があった」と厳しくコメント。「他の大学にはインカレに懸けている選手も多い。自分たちは気持ちの部分も含めて、総合的に力が足りない」と指摘した。各種目で記録を伸ばせず、コンディションに不安を抱える選手も多く、「インカレは甘くないということを痛感する結果になったと思う」と難しさを語った。
明日はリレー、チームパシュートといった団体種目が行われる。高崎健大を20点差で追う形となったが、「まだ結果は決まっていないので、2つとも1位を取りに行く」と目標を語った。
▲厳しいコメントを残した近藤監督 「追い込まれる展開で実力を出し切れていない部分もあった」とレースを振り返った。
▲(上から)林、軍司に声をかける近藤監督 「失格になってしまったが、2人ともレース内容は悪くなかった」と2人を評価。次のレースへ向けて修正案を話し合った
厳しい状況に立たされた専大だが、泣いても笑っても明日がインカレ最終日。主将の野々村もしっかりと気持ちを切り替えて、前を向いた。「最後の団体戦でどっちもトップを取って『強い専大』を見せつけられるように。良い形で終わりたい」。悔しさを力に変え、有終の美を飾りにいく。
▲レース後には明日の団体戦に向けた公式練習を実施。チーム専修の意地を見せるための準備を整えた
その他レース結果
○5000m
菊池健太:4位(6:56,97)
「ラップが急激に落ちてしまったことが反省。1〜4周目のタイムが悪かった。実力不足だなと思う。ペース配分を誤ってしまい、中盤からけっこうしんどかった。同走した相手(松本選手・高崎健大)に負けて表彰台を逃したことは悔しい」。
▲5000mを滑る菊池 惜しくも表彰台には届かなかったが、チームトップの成績を残した
笠原光太朗(経営2・帯広三条) :7位(7:05,15)
「自己ベストを考えるとトップを取らなければならなかったが、レースに合わせることができず、チームに申し訳ない結果となってしまった。前日の悪い流れを引きずってしまったと思う」。
▲個人種目では納得のいく結果を残すことができなかった笠原「なんとかチームの力になることができるよう頑張りたい」と明日のパシュートでは優勝を狙う。
○1000m
三井晃太(経営3・東京都市大塩尻) :5位(1,12:42)
「(専大から1000mに出る3人で)高崎健大の選手に勝とうという話をしていて勝たないといけない重圧がすごくあった。自分のレースに集中して、それなりに良いレースだったと思う。久しぶりにプレッシャーがあった中でのレースとなって新鮮だった。自分のメイン種目は1500mということもあってトップスピードに不安があって自分にチャレンジしていく感じだった」。
▲プレッシャーの中でも作戦通りの結果を残した三井
軍司 一冴(経営1・白樺学園):失格
文=山縣龍人(法4) 河上 明来海(文3)
写真=河上