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今年に入って初ハーフマラソン、全日本大学駅伝予選出走など、多くの経験を積んで一気に存在感を高めた藁科健斗(経営2・横浜)。好調を夏季合宿でも維持し、エントリーメンバー入りを果たした。「箱根で結果を出したい」と力を込める成長著しい2年生の想いやこれまでに迫った。
▲今季急成長中の藁科
〇成長の波に乗る
上半期で大いなる飛躍を遂げた。2月にハーフマラソンデビューをすると、翌月の日本学生ハーフではチーム5番目でフィニッシュ。6月は全日本大学駅伝予選の出走も果たし、7月の記録会では5000mで自己ベストを大きく更新した。「(好結果が出ることで)自分に自信が持てるし、試合での緊張感が変わって気持ちで負けなくなった」と胸を張る。自身が考える今季のキーポイントとなったのは2つのレース。6月の全日本駅伝予選では「出走できたが、自分が納得いく結果が出せなかった」と唇を噛んだ。「もっと自分のレベルを上げないと上にはいけない。どうすれば追いつけるのか考えた」。そこからおよそ1か月弱、強い意識をもって練習の質と精度をアップ。そして7月、裾野市で行われた記録会に出走し、「自分の中で100%の走りができた」と自賛する走りで自己ベストを記録した。反省から活かした練習を繰り返し、結果が出せた流れは自身にとって大きかった。
〇好調の要因
そんな好調の裏側には自分なりに取り入れた動きが功を奏した。駒澤大学駅伝部のマネージャーを務めている兄から「ジョグの時にペースを上げすぎないこと」を進言された。強豪校が行う動きを実践すると、「距離も稼げて疲労も溜めずに走れる」と手応えを掴み、継続している。また、「去年結果が出てない中でもずっと練習を積んでいて、それが今季の結果につながっていると思う」と分析。投げ出すことなく、コツコツと積み重ねた努力が成果として発揮されている。
▲裾野の記録会で自己ベストを大幅更新。悔しさを胸に練習を積んでいた
〇高校時代からつながる今
その“練習”において、藁科はチーム内でも屈指の努力家だ。自身の出身校は神奈川・横浜高校。野球部が伝統ある強豪校として全国でも圧倒的な知名度を誇っているため、横浜高校=野球部はお馴染みである。
そんな中、陸上競技部で3年間、チームの主力として在籍。「県内で有名な指導者の下で教えを受けたい」という理由で同校に進学した。しかし、同監督が2年生時にまさかの退職。思いがけない事態となり、最後まで面倒をみてもらうことは叶わなかった。指導者がいなくなった高校3年生の1年間、自主練習に徹した。「自分でコースを決めて、走る時間も決める。そういう全て自分で考えながらやるというところは今にかなり繋がっている」と進学後の環境へ適応できた。その後は現在スカウト兼コーチを務める柴内康寛氏が同校OBという繋がりもあり専大へ進学。大学での陸上人生がスタートする。
〇強みを活かしてぶれないゴールへ
藁科は進学する際、「箱根で結果を残すこと」を4年間の目標と定めて陸上競技部の門を叩いた。箱根駅伝で走ることにとどまらず、結果を残すという明確なゴール。「大学生活の中で最大のものは箱根駅伝だと思っている。そこで結果を出すために、どういう練習、行動をしたらいいか意識している」と明かす。高校時代に比べて自分の時間が増えたという寮生活では「自分を正していくことが、練習や試合の結果につながる」と気づいた。
結果にこだわる箱根路で、希望する区間は3区。「自分は最初に突っ込めるのとロングスパートができる。そう考えると、下り基調で始まり、海岸線に出て、後半緩やかに上るあの区間が最も自分の走りに適している」という考えにたどり着いた。さらに、自身はこれまでの陸上人生において目立ったケガを負ったことがない。「けがをしにくい体質なのかな…」と苦笑するが、これは陸上選手にとっても大きな強み。3区は海岸線に出た際に受ける強風への対応がカギだが、「風に対抗できる身体の強さはあると思う」と自信を覗かせる。
▲同級生の手塚太一(左)など、同級生の存在が刺激になっている
〇にじみ出る自覚
「同い年に早いタイムをもっている人が多く、1年生も力がある」と周囲から刺激を受けている。そのために、「来年、再来年に箱根で勝負をしていくために自分たちが前にでてやっていかないといけない」と力強く語った。理想の選手像は「言葉でも行動でも引っ張っていける選手」。心身ともに大きく成長し、自覚が芽生えた。
急成長をみせ、今後も大いなる潜在能力を秘めている2年目ランナー。揺るがぬ自身のゴールに向かって突き進んでいく。
文=河上明来海(文3)
写真=相川直輝(文4)、河上