最新ニュース
国内卓球界において、最大の大会である天皇杯・皇后杯 2023年全日本卓球選手権大会が1月23日から7日間、東京体育館で行われる。厳しい予選を勝ち抜いてきた選手たちが日本一を賭けて集結する大舞台。昨秋のリーグ戦を制した女子卓球部からは9名が出場する。各選手は今大会に向けた想いや意気込みを語った。
▲選手たちは緊張感のある雰囲気で練習に取り組んでいた
大島 奈々(文4・愛知みずほ大瑞穂)
前主将の大島は「4年間、指導者の方々から色々なアドバイスを頂いた。その方々に感謝の気持ちを持って、最後良い形で終えたい」と感謝の気持ちを胸に最後の全日本に臨む。大島の強みはリードされていても点数に繋げられる粘り強さ。シングルスで4回戦に勝ち進めば、東京五輪の金メダリスト・伊藤美誠選手(スターツ)とぶつかる。「トップレベルの選手と試合をして、どれだけ通用するのか。得たものを今後の課題としていきたい」と意気込む。
永道 麻依加(文4・希望が丘)
同じく4年生の永道は今後、競技は続けないという。「本当に最後の大会なので。持っている力を全て出し切りたい」と強い覚悟で臨む。「練習はきつかったが、充実していた」という4年間に後悔はない。磨き上げてきた力強いバックハンドと粘り強さを武器に、有終の美を飾りたい。
千葉 満月(文3・専大北上)
新主将に就任した千葉は自身2回目の出場。昨年、ダブルスで出場したが、初戦敗退。「まずはとにかく初戦を取りたい」という強い想いから、年末年始も毎日欠かさず自主練習を行い、感覚を研ぎ澄ませてきた。前回同様、ペアを組むのは高校時代の後輩である伊東明香選手(朝日大)。「長い間ペアを組んできたので、信頼関係も厚い」と話す。千葉の持ち味である攻撃的な戦型と伊東選手の安定感あるプレースタイルは抜群の相性を見せる。新キャプテンとしての自覚が芽生えてきているなかでの公式戦。結果でチームに良い影響を与えられるか、注目だ。
船場 清華(文3・明徳義塾)
新チームのエースの一角を担う船場は「全日本という大きな大会に出られること自体がありがたく、嬉しい」といい、「”挑戦者”の気持ちで自分の卓球がどれだけ通用するのか楽しみ。全てを出し切りたい」と心を躍らせている。武器は力強いスマッシュ。最近はドライブ型が主流になっているが、スマッシュを貫き、得点を量産する。
船場はシングルスで勝ち進むと、4回戦で中学、高校の後輩である岡田琴菜選手(愛知工業大)とぶつかる。昨年10月に行われた全日本大学総合選手権大会でストレート負けを喫した因縁の相手だ。「まずはそこまで勝ち上がらないといけない。対戦するからには必ず勝ちたい」とリベンジを誓った。
沖胡 ひとみ(経営3・岩国商業)
ダブルスに出場し、東洋大学の金本茉実選手とペアを組む沖胡。高校時代から長く組んでいる相手で、相性は良い。「金本選手の戦型はかなり異質で特殊なタイプ。彼女が決められるボールを打てるように、自分がしっかりアシストできればと思う」と献身的なプレーで戦うつもりだ。
相手からの返球を上からカウンターで狙い、緩い球を誘い出すという自身の強みを活かし、スーパーシード(4回戦が初戦となるシード、以下:SP)と対決することを心待ちにしている。「弱気にならず、思いきって自分たちらしいプレーをしたい」と強い気持ちで挑む。
中山 恭花(文3・幕張総合)
ジュニア時代から全日本を経験している中山は今大会で7回目の出場となる。ただ、なかなか本戦で結果が出せていないことに加えて、「もうすぐ3年生も終わり、出れる大会も少なくなっていく。大事に戦いたい」と出場に賭ける想いは強い。中山は卓球台の前方に立ち、相手の返球の勢いを活かしてより強い球を打つ攻撃的な戦型が特徴だ。
シングルスでは、勝ち上がると4回戦で長崎美柚 選手(木下グループ)と対戦することになっている。長崎選手は「同じ左利きで戦型も似ているので、よく動画を見て参考している存在」だという。
憧れの選手と相まみえるために、厳しい戦いを1戦ずつ制していく。
出澤 杏佳(文2・大成女子)
専大入学時からエース的存在で幾度となくチームに貢献してきた出澤。輝かしい実績の持ち主だが、おごることなく謙虚な姿勢が印象的だ。ただ、全日本に対する思い入れは人一倍強い。「良い結果を出せば、色々な実業団チームからスカウトがきたり、選考会などに呼ばれたりする。最も”見られている”大会だと思う」。自身も現在Tリーグに所属しているが、さらなる高みを目指すため、良い結果を残したい一心に、強い覚悟がうかがえた。
出澤は今回、シングルスと混合ダブルスに出場する。シングルスでは、昨年10月の全日本大学総合選手権で準優勝をしたため、SPで迎える。重圧はないというが、「相手は3回勝ってきて、勢いがある。流されることなく向かっていきたい」と警戒を強める。3回戦で涙をのんだ前回の悔しさを胸に、「目標はベスト16入り」と力強く掲げた。
そして混合ダブルスにも強い思い入れがある。ペアを組む小林広夢選手とは小学校時代からの長い付き合い。前回大会も同様に出場し、4回戦で世界ランク4位の早田ひな選手(日本生命)と張本智和選手(IMG)のペアと対戦。5ゲームのフルセットまでもつれる好試合を展開したが、惜しくも敗れた。そして今回、4回戦まで勝ち進めば再戦が訪れる。「まずはそこまで勝ち進み、今回こそ勝ちたい」と気合十分で挑む出澤ペア。リベンジを果たして番狂わせを起こせるか、注目が集まる。
甲斐 萌夏(文1・愛知みずほ大瑞穂)
甲斐はダブルスに出場し、高校時代からの先輩でもある大島とペアを組む。共に戦えることがとても嬉しいといい、「これから組むことはなかなか難しいと思うので、1回でも多く勝って、できるだけ長く一緒に試合をしたい」と先輩へ捧げる気持ちで戦う。描くゲームプランは明確で、「ダブルスに有利な左利きであることを活かし、レシーブから仕掛けたい。そうすることで、奈々さん(大島)が打ちやすくなったり、点数になる」と考えている。大島にとっては学生で最後の全日本となる。先輩の雄姿を目に焼き付け、SPと対戦することを目標に強い絆で挑む。
仲本 七虹(経営1・希望が丘)
ジュニアの部では4度出場しているが、一般の部では初出場となる仲本。これまでは「勝たなければならない」という重圧を感じていたが、「新しい気持ちを持って、挑戦をモットーに1つでも多く勝ちたい」と先を見過ぎず、1戦ずつ挑む。仲本の持ち味はバック対バックの状況になった際、相手を崩してフォアで得点を重ねること。「コンディションがとてもいいので楽しんでプレーしたい」と自信をもって本番の調整ができている。入学から成長した実感があるという仲本の躍進に期待がかかる。
陳ケ尾 真子(文1・和洋国府台女子)
陳ケ尾も一般の部では全日本初出場。「ジュニアとは違って格上の選手ばかり。出場できることに感謝して対戦を楽しみたい」と大舞台をプラスに捉えて挑む。シングルスで4回戦に進出できれば、世界ランク5位の早田ひな選手と対戦できるが「もちろん対戦してみたい気持ちはある。しかし、そこまでいくのもかなり大変なので、頑張る」とまずは初戦に注力する。ラリー戦で粘りきることが陣ケ尾の持ち味。諦めない心を軸に、食らいつく。
いよいよ開幕まで1週間。最高のコンディションで挑めるよう、各選手は調整段階に入っている。「自身の力がどれだけ通用するのか知りたい」と、多くの選手が口を揃えていた。各自がレベルアップするのには最高の機会。9名の挑戦者が大舞台へ挑む。
【出場種目選手一覧】
・女子ダブルス:大島奈々&甲斐萌夏ペア、永道麻依加、千葉満月、船場清華、i出澤杏佳、沖胡ひとみ、仲本七虹
・女子シングルス:大島奈々、永道麻依加、船場清華、中山恭花、出澤杏佳、仲本七虹、陣ケ尾真子
・混合ダブルス:中山恭花、出澤杏佳
文=河上明来海(文2)
写真=卓球部提供、河上明来海(文2)