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2022.11.30
ラグビー

【ラグビー部】2位で入替戦進出も 不安残す敗戦

〈関東大学リーグ戦2部 最終節=11月27日 中大G 専大17-24中大〉


▲ノーサイドの瞬間崩れ落ちる中大と肩を落とす専大 ノーサイドの笛が鳴るとピッチは重い空気に包まれた


1年での1部復帰を目指す専大は、リーグ戦最終節で入替戦への切符を手にした。勝ち点を1でも上積みすれば入替戦が決まる2位専大は3位中大との直接対決に臨み、17-24で敗れた。しかし、7点差以内での敗戦だったため勝ち点1を獲得。専大の勝ち点が26、中大が25となり、2位が確定した。なんとか入替戦進出を決めたが、セットプレーが噛み合わないなど課題は山積。大一番に向け不安を残す試合となった。


2節の国士舘大戦以来のアウェイゲームとなった最終戦。1部昇格への挑戦権を懸けた一戦に、アウェイスタンドから溢れるほど多くの専大ファンが詰めかけた。試合前時点で2位専大の勝ち点が25で3位中大が21。勝ち点を1でももぎ取れば入替戦進出を決められる優位な立場で試合を迎えた。


しかし、専大は試合開始から相手のプレッシャーに屈する形になる。前半2分、ファーストスクラムでコラプシングを取られ早くも自陣22mライン奥まで攻め込まれる。その後ラインアウトからモールで一気にインゴールまで運ばれ、さっそく7点の先行を許した。


▲開始早々先制点を与え、相手を波に乗せてしまった


中大に流れを渡したくなかった専大だったが、ラインアウトや敵陣深い位置でのドライビングモールが上手く行かずなかなか反撃に転じることができない。それでも前半18分に敵陣でオフサイドのペナルティを獲得し、専大はショットを選択。FB古里樹希がPGを決め、3-7と点差を縮めた。


▲前半18分に古里がPGを決め、点差を縮めた


しかし中大の攻撃の勢いは止まらなかった。前半24分、自陣22mライン付近の相手ボールラインアウトから左に向けて展開。中央まで来たところで今度は右に展開し、手薄になった専大ディフェンスラインを中大CTB水野選手が突破。そのまま走り切りトライを奪われ、ゴールも決まり3-14と突き放される。さらに30分にはゴール手前でのスクラムからSHの野村選手が直接インゴールへ運ばれ、36分には右の大外でトライを許した。


▲前半24分の失点シーン

▲前半30分、スクラムから相手SHに直接運ばれ追加点を奪われた


その後もう1トライを許し、3-24と大量ビハインドで折り返した。このまま試合を終えると専大の勝ち点が25、中大が26で逆転されてしまう窮地に立たされた。


▲前半最後のプレーでペナルティを得た専大はショットを選択するも、決めることができなかった


後半になっても専大は攻めきれない。後半5分には22mライン付近での専大ボールラインアウトから攻撃を続けるも、ハンドリングエラーでチャンスを逃す。12分には専大ボールスクラムからゴールラインに迫るも、グラウンディングが認められず点差を縮めることができない。ようやく攻撃の歯車が噛み合い始めたが、15分にNO8丹治好晴(経済2・東海大相模)がキックの競り合いの中でイエローカードを提示され、数的不利な状況に立たされる。


▲後半12分、ゴールラインに迫り一気に押し込んだが、グラウンディングは認められなかった


14人になっても専大は流れを止めなかった。その後も何度もゴールラインに迫るが、ノックオンを繰り返しなかなか得点には至らない。それでも強かに攻め、中大守備陣にプレッシャーをかけ続けた。


残り5分。得点の気配がせず絶望的な雰囲気が漂い始めた。しかしここから一気に流れを手繰り寄せ、驚異の反撃を見せた。後半35分、22mライン付近の密集から抜け出したCTB髙居海靖がインゴールまで走り切りトライ。古里のゴールも決まり、10-24と14点差に縮める。さらに後半39分、敵陣でボールを受けたWTB飯塚稜介が快足を飛ばして右サイドを駆け上がる。追いかける中大の選手を振り切り、中央付近でトライ。これで15-24。決まれば7点差に迫れるコンバージョンキックをFB古里が落ち着いて決め、17-24と勝ち点1を奪える点差まで詰め寄った。


▲後半35分の髙居のトライ

▲39分の飯塚のトライ 持ち前のスピードで走り切った

▲古里のゴールが決まり、勝ち点を得られる7点差まで迫った


そのままノーサイドを迎え、専大は勝ち点1を確保。残り5分の執念の反撃で、入替戦の切符を手にした。それでも勝利を逃した専大フィフティーンに笑顔はなく、ベンチにも重苦しい空気が漂った。試合の内容に満足する選手は誰一人としていなかった。


村田亙監督は試合後、「こういった試合になることはある程度わかっていたが、こっちがやりたいことを相手にやられてしまった。本当に追いつけるのか心配だった」と前半から不安だったと明かした。山口和明主将(経済4・桐蔭学園)も「中大は飲み込みに来るということは想定していたが、上手く飲み込まれてしまった」と重い表情で試合を振り返る。それでも山口は「スタミナではこっちが上。後半の最後の方だったが、フィットネス面でこちらが上回れた」と最終盤の反撃に手応えを感じたという。それでも「最後までセットプレーが合わなかった。試合中の修正能力も自分たちに足りていない」と大きな課題を話す。「ここからの2週間は本当に大事。今まで通りではなく、目の色を変えて準備をしたい」と主将は力を込めた。指揮官も「チャンスをもらえた。この2週間を本当に大事にして、1部に上がりたい」と大一番を見据えた。


▲山口主将は「チャンスをもらった」と次を見据えた


12月11日に行われる入替戦の相手は大東大。1年での1部復帰を懸け、熊谷ラグビー場で決戦に臨む。


文=野見山拓樹(文3)

写真=北原倖多(文1)