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2022.11.12
野球

【野球部】1部昇格ならず… 駒大に完敗

〈令和4年度東都大学野球秋季1部2部入替戦=11月11日 神宮 専大1-8駒大〉


▲1部への壁は分厚く高かった その思いは次の代に託された


17年春以来の1部昇格へあと1勝に迫った専大。しかしその壁は分厚く、高かった。先発の西舘昂汰(経済3・筑陽学園)は初回に3点を先制されると、2回途中でKO。代わった松下瑛亮(経済3・宮崎学園)が2ランを浴び、序盤で大きく突き放された。打線も6回の南保良太郎(経営4・星稜)の犠飛の1点のみに封じられ、1-8で完敗。悲願だった1部行きの切符を手にすることはできなかった。


運命の3回戦。齋藤正直監督は、先発マウンドを3年生右腕・西舘昂汰に託す。西舘は優勝を決めた対東洋大2回戦や入替戦2回戦で勝利に大きく貢献するなど、大一番で結果を残してきた。悲願へ向けた大きな期待と重圧を背負い、14時58分、試合が幕を開けた。


▲先発の西舘昂汰


しかし、初回から駒大打線が容赦なく襲いかかった。先頭の林琢選手が2球目を中前に運ぶと、次打者の初球から走り、早くも無死2塁のピンチを背負う。結局2番小園選手を歩かせ、3番大森選手の犠打で1死2、3塁にピンチが広がる。すると4番岩本選手にセンターの頭を深々と超える2点適時二塁打を浴び、あっさり先制を許す。その後2死1、3塁から7番与倉選手にも左前適時打を許し、初回から3点を追う展開となった。


▲初回の西舘 調子が悪いわけではなかったが、相手打線の勢いに飲まれた

▲4番岩本選手に2点適時二塁打を浴びる西舘

▲初回から齋藤監督がマウンドへ それでも勢いを止めきれなかった


2回、1死から2番小園選手を二失で出塁させたところで投手交代。ここまで幾度となくチームの窮地を救ってきた背番号11だったが、この日はあと1勝の重圧と駒大打線の勢いを跳ね返すことができなかった。


▲2回途中KO 悔しさを滲ませマウンドを降りた


2番手は松下瑛亮。しかし、代わった直後を叩かれた。3番大森選手に3球目を強振されると、打球は右翼席へ一直線。完璧に捉えられた2ラン。0-5とさらに点差が広がる。4回にも1死から3連打で満塁のピンチを迎え、二ゴロの間に追加点を許し0-6となった。6点目を取られたところで専大ベンチはエース・菊地吏玖(経営4・札幌大谷)をマウンドへ送り込んだ。


▲2番手の松下

▲ここまで抜群の安定感を誇った松下でも駒大打線の勢いは止められなかった

▲4回途中からマウンドに上がった菊地


打線は相手先発の松村投手に3回まで完璧に抑えられたが、4回先頭の西村進之介(経済3・栄徳)が三安で出塁すると、2死後に外山優希(経営3・開星)が二塁手の頭を越える安打を放ち1、3塁のチャンスを作る。しかし、5番の山本健斗(経済3・松商学園)が三振に倒れ無得点。反撃の狼煙を上げることができない。


▲4回のチャンスで三振に倒れた山本


4回途中からマウンドに上がった菊地は5回を3人で抑える。しかし6回、先頭の小園選手に左翼線へ二塁打を放たれると、犠打で1死3塁とされる。ここでギアを上げたい菊地だったが、4番岩本選手への2球目、スクイズを外そうとした投球が捕手の頭を大きく超えた。暴投となりそのまま3塁走者が生還。重い7点目を献上した。


▲6回の暴投のシーン


専大は6回にようやく反撃に転じる。先頭の西村進が敵失で出塁すると、2番西里颯(経済2・興南)の左安で無死1、3塁のチャンスを迎える。続く南保がレフトへ犠飛を放ち、ようやく1点を返した。なおも1死2塁と畳み掛けたい場面だったが後続が倒れ1点止まり。1-7と点差を6点に詰めた。8回にも西村進と西里の連打で1死2、3塁のチャンスを作ったが無得点。6点差のまま最終回に入った。


▲先頭で出塁した西村進

▲左前に運びチャンスを広げた西里

▲一矢報いる犠飛を放った南保と出迎えるナイン

▲三邪飛に打ち取られた外山

▲三振に斬られた山本 点差を詰めることはできなかった


9回、菊地は先頭を歩かせると、5番薩美選手を失策で出塁させ、無死1、3塁とされる。続く神宮選手に左前適時打を浴び、試合を決定付ける追加点を許した。後続を斬りなんとか1点で切り抜けたものの、エースでさえも最後まで駒大打線の勢いを鎮めることはできなかった。


▲「攻撃に繋げたかった」と4回途中から粘投を見せた菊地


9回裏は2死から新出篤史(経済4・函館大有斗)が左安を放ち意地を見せたが、8番川上智己(経営3・加藤学園)が空振り三振に倒れ試合終了。1-8。1部昇格の夢はまたも打ち砕かれた。


▲9回2死から出塁した新出


「3点、2点と取られたが、押し返す力があれば序盤で展開を変えることができた」。齋藤正直監督は悔しさを滲ませながら試合を振り返る。西舘が5~6回を投げ、最後は菊地で締めるゲームプランだったが、ここまで抜群の安定感を誇ってきた西舘が乱調だった。「西舘が悪いわけではない」と擁護しつつ、「采配も含めて残念だった」と話した。「2部から1部に上がるのが大きな壁になっている。3年生以下がこの思いを繋いで、2部で研鑽して来春チャレンジしたい」。指揮官は来年のチームに期待を寄せた。


▲試合後、敗れたナインに言葉をかける齋藤監督


この日が最後の試合となった4年生。菊地は「最後の最後で力のなさを実感した」と淡々と話す。「最後の最後の試合で最初から菊地というようにならなかったところから、自分はその程度の選手だと思った」と悔しさを見せたが、「とにかく練習して自分を高めていきたい」と次のステージを見据えた。主将の新出は「最高のメンバーだったが、それでも(1部へ)行けなかった。何か大きく変えてやっていくことが大事だと思う。思いは伝えたので、次はなんとしてもこの舞台で勝てるように頑張ってもらいたい」と下級生に思いを託した。


▲涙の西舘を励ます菊地(右)と今里(左) 菊地は「お前は悪くない」と西舘を励まし続けた

▲涙を流す新出 主将としてチームを牽引したが、1部昇格の目標には届かなかった


1部への壁を打ち破ることはできなかった。それでも上のレベルでも十分に戦える可能性を示したシーズンとなった。今年の主力の多くが来年も残る。引退する4年生の無念を晴らすべく、専大は次に向けて進み続ける。


文=野見山拓樹(文3)

写真=相川直輝(文3)