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2017.10.19
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スポットライトVOL.7 ブラジル発のビーチスポーツで世界に挑む 斉藤亮太さん

 これまで専大体育会の注目選手を取り上げてきたスポットライト。第7回は特別編ということで、体育会に所属はしていませんが、あるスポーツの日本代表に選ばれ、今年の冬に本場ブラジルで行われる大会へ出場する専大生を特集します。


 

 “フレスコボール”というスポーツを知っているだろうか。卓球で使用するものより2回りほど大きいラケットを使ってボールを打ち合うビーチスポーツである。戦後、ブラジルのリオデジャネイロで考案されたといわれているこのスポーツ、日本では2013年に協会が発足し、翌年から普及活動を行っている。

 フレスコボール最大の特徴は、相手のいないところにボールを打つのではなく、ペアと息を合わせてラリーを続ける競技であるということ。相手がリターンしやすいボールを打ち合う競技であるため、「思いやりのスポーツ」などとも呼ばれる。競技は2人1組で行われ、ラリーやボールを落とした回数など、細かい採点基準に基づいて勝敗は決められる。

 斉藤亮太さん(文4・百合ヶ丘高)もまた、フレスコボールのおもしろさに魅了された男の1人だ。もともとテニスをしていた斉藤さん。足腰を鍛えるために砂浜で練習をしていたところ、フレスコボールに出会ったという。今回、専スポ編集部は斉藤さんが出場する大会が行われるという神奈川県・三浦海岸に向かった。

 フレスコボール・ジャパンオープン2017。日本最大級のフレスコボールの大会でこれまで過去2回、夏の季節に開催されている。今年は8月12日と13日に行われ、大会初日の朝にはNHKの朝番組でラリーの様子が生中継された。初めての人でも気軽に始められることが売りのフレスコボール。ジャパンオープンには開始歴わずか数か月のペアから、本気で優勝を目指しているペアまで計30組がエントリーした。この大会の前に行われた別の大会で優勝している斉藤さんは、最終組の登場となった。ここで、専スポ部員が撮影した斉藤さんのプレーを見ていただきたい。


 足場の取られやすい砂場で安定した素早いラリーを繰り返した斉藤さん。ほかのペアに比べて落球の回数が多かったため、優勝とはならず結果は3位だったがラリーの回数とスピードはほかのペアを圧倒しており、見ごたえあるプレーだった。

 大会後、専スポの取材に応じてくれた斉藤さん。フレスコボールの紹介から、斉藤さんがこの競技に出会った経緯に至るまで、さまざまなことを語ってくれた。

-斉藤さんとフレスコボールの出会いを教えてください

 大学にいたころは(斉藤さんは現在休学中)テニスサークルに入っていました。当時は試合中によく足がつってしまったので、足腰を鍛えるために最初はビーチテニスを始めました。土日は江の島のビーチで、平日は普通のテニスをする日々を送っていたのですが、そのとき知り合いからフレスコボールのことを教えてもらったのがはじまりです。

 フレスコボールにちょっと興味がわいて、2年前の8月に行われたジャパンオープンを見に行きました。その大会には本場ブラジルの女性チャンピオンが参戦していたのですが、大会以外の時間を使ってその方とラリーをさせてもらえる機会をもらったんです。そのときがとても楽しくて、やってみようかなという気になりました。

-そのときから本格的に日本代表を目指そうと思ったのですか

 いえ、そのときは今ほど本腰を入れず、テニスの片手間にやっているという感じです。2016年の3月に、今もペアを組んでいる芝卓史さんという方を紹介してもらい、初めてビギナーの大会に出場しました。そしたら、そこの大会で優勝したんです!!これはもっと真剣にやればひょっとすると日本代表になれるんじゃないかと思って、フレスコボールにのめりこみましたね。そこから週末はずっとフレスコボールの練習漬けです。

-昨年9月には初めて日本代表に選ばれて、イタリアで開催された大会に出場しました

 そのときの結果はボロボロだったのですが……(苦笑) でもそのときは本格的に初めて半年で代表になれた!!という思いが強かったです。ほかの国の選手たちとは当然言葉も通じないのですが、フレスコボールを通して仲良くなれたのが思い出深いです。さすが「思いやりのスポーツ」なだけあって、みんな優しかったなあ。

-フレスコボールは「思いやりのスポーツ」とも言われていますが

 テニスの試合中には相手とラリーを楽しもうという雰囲気にはなりませんよね?でも、フレスコボールはお互いが打ちやすいところに返してあげるスポーツなんです。だから、上手い人が相手をサポートすることもできますし、お互いを助け合うこともできます。大会中も、自分のプレーの時以外はほかのペアを応援する雰囲気が自然とできますし、僕もみんなにいいプレーをしてもらいたいという思いがあります。

 今回のジャパンオープンとその前に行われた国内大会での成績の結果、斉藤さんは今年の12月に本場のブラジルで行われる大会の日本代表選手に選ばれた。2年前フレスコボールに出会い、そして今回ブラジルでプレーする機会を得た斉藤さん。大会のことについて聞いてみた。

-斉藤さんは今年の12月にブラジルで開催される選手権に参加します

 できることなら全部の大会で優勝して日本代表を決めたかったですけどね……。それでもジャパンオープンで負けて学ぶこともあったので、その反省と悔しさをバネにして頑張りたいです。現地でブラジルの人とも練習してみたいですね。ブラジルのフレスコボールはレベルが違います。映像で見たことありますが、「みんなバケモノかよ……」ってくらいラリーのスピードが速いです。そのプレーを実際の目で見てみたいという思いもあります。大会では、欲を言えば入賞したいですが、本場のレベルが高いのは知っているので。それよりも、「日本のフレスコボールもここまでレベルが上がったんだぞ」ということをアピールしたいですね。

-斉藤さんはフレスコボールをさらに広めるために、いろいろな活動をされていると聞きました

 フレスコボールはまだまだ知名度の高くないスポーツですから、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いがあります。プレーヤーである自分もTwitterやインスタグラム、FacebookといったSNSを活用してフレスコボールの魅力を発信しています。パートナーの芝さんはフレスコボールが上達するための情報を発信しているのですが、僕はいわゆるファーストコンタクトといいますか、フレスコボールを知らない人に向けて体験会やイベントなどの情報を投稿しています。

-やはり多くの人にフレスコボールをやってもらいたいという思いはありますか

 もちろんです!!僕自身フレスコボールはすごく楽しいスポーツだと思っていますし、ほかの人にも楽しそうだな、と思ってもらいたいです。体験会に参加した人から「やってみたらすごく楽しかった」という感想をもらいたくて、どうか多くの人にフレスコボールの楽しさを味わってもらいたいと思っています。ほら、ビーチで写真を撮ったらインスタ映えすると思うんですよね(笑)

-今回のインタビュー記事でフレスコボールに興味を持つ学生もいると思います

 もしそうなってくれたらうれしいですね。体験会は過去にお台場などでも開かれているので、まずは1度やってみてほしいです。そこで少しでも楽しいなって感じてくれたらと思います。大学生の中には夏に、友達と海に行く人もいると思いますが、そのときにフレスコボールに親しんでくれれば最高ですね。スポーツは真剣にやると少し嫌になってしまう人もいると思いますが、フレスコボールは楽しみながらできるスポーツです。僕はフレスコボールのことを「究極のリア充スポーツ」と呼んでいます(笑)僕自身、フレスコボールをやるようになってから周りの人に応援されるようになりましたし、なによりイタリアで言葉の通じない人とラリーをするような、普通の大学生ではまず経験できないことをすることができました。みなさんにもフレスコボールをやってみて、その楽しさを味わってほしいです!!

▲試合後の記念撮影で笑顔を見せる斉藤さん(左)とパートナーの芝さん

 フレスコボールは誰でも気軽に、手軽に始められるのが最大の魅力である。プレーするスペースも前後7メートルを確保できればどこでもできるし、ラケットはフレスコボール協会のHPでネット販売を展開している。「僕自身がそうであったように、学生から初めても日本代表になれる可能性もあります」と斉藤さんが語るように、多くの人に注目される存在になれるチャンスもある。

 「日本代表として、ブラジルの人を驚かせるようなプレーがしたいです」。最後に斉藤さんは大会での目標を力強く語った。

斉藤亮太さんのTwitter:https://twitter.com/entertainer1014


(飛田翼・文3 写真撮影=飛田、高田)