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2017.12.05
スポットライト

スポットライトVOL.9 夢の空手世界一への挑戦 水野翔太さん

 様々な専大体育会の注目選手を取り上げてきたスポットライト。第9回では体育会には所属していませんが、12月にロシアで行われる(極真)空手の世界大会に日本代表として出場する専大生を特集します。

 水野翔太さん(法4・茂原高)は12月9日、10日にロシアのカテリンブルクで行われる第3回KWU世界空手道選手権大会の日本代表に選出された。水野さんが出場するー85級では日本人でただ一人の出場だ。

 今大会は、KWU(Kyokushin World Union=極真世界連合)が主催で、2年に一度開催される極真空手の世界大会である。水野さんは4年に一度開催される世界大会、第1回KWF世界空手道選手権大会(2014年)で準優勝、ユーラシアオープン2016で準優勝、2016年廣重道場杯(極真空手道選手権大会)で優勝を果たし推薦で日本代表に選ばれた。そもそも「極真空手」とはどんなスポーツなのか。ここで少し空手の種類について説明したい。

 東京オリンピックの新種目に決定し注目を集める「空手」。そんな空手には様々な流派が存在し、フルコンタクト空手とノンコンタクト空手という大きく分けて2つの種類があることを知っているだろうか。オリンピック新種目が決定したのはノンコンタクト空手であり直接相手を打撃しないことから「寸止め空手」とも呼ばれる。一方でフルコンタクト空手は直接相手を打撃するスポーツであり、代表的であるのが「極真空手」なのである。

 流派によってルールや出場できる大会も異なる空手。ここでは、水野さんが出場する今大会のルールを簡単に紹介する。試合時間は3分間で決着がつかなかった場合は2分延長し、さらに決着がつかなかった場合は2分再延長される。勝敗の判定は技が決まり5秒以上立てなければ1本となり試合は終了する。また、蹴りや突きによって技が決まると「技あり」とされ2回判定されれば1本とみなし試合は終了となる。それでも勝敗が決まらないときは主審1名、副審4名による判定で勝敗を決め、3名以上の支持があれば判定勝ちとなる。

 極真空手は防具を一切着用せず、互いに相手を直接攻撃するスポーツである。拳や肘で顔を攻撃することや関節を攻撃することは反則行為とされ、2回反則と判定されると減点が課せられるなど細かなルールも存在する。


「空手」という名前は聞いたことがあっても、「極真空手」は聞いたことがない人も多いだろう。そこには、様々な流派が分裂を繰り返していることが影響する。ノンコンタクト空手はオリンピック化も実現し団体がまとまっている一方で、フルコンタクト空手は極真会館、真極真会、極真館など複数の流派が存在する。水野さんはKWFというフルコンタクト空手の生みの親、大山倍達氏の弟子が作った団体に所属している。現在フルコンタクト空手ではどの流派であっても大会に出場できるようにJFKOというオープン化された日本の大会を開催しこの大会で優勝すると世界大会へ出場できるなどオリンピック化に向けて少しずつ団体がまとまりつつある。

以下、水野さんのインタビュー

―――空手を始めたきっかけは

小学校2年生の時に父親が空手を始めるということで道場に連れていかれ一緒に始めました。正直最初はやりたくなかったのですが、当時は性格が弱く泣き虫なうえに人見知りで、自分の考えを主張することができない受け身な性格だったのでそれを克服したいという思いで始めました。

―――家族と一緒にやるというのは水野さんの原動力になりましたか

そうですね、父と兄も空手をやっていたので、家族がいたから小中学生の頃試合に勝てなくて苦しいときも辞めずにここまで続けることができました。家族がいなかったら、空手をやってないですし、途中で絶対に辞めていたなと思います。

―――空手の魅力を教えてください

試合中は殴りあったり蹴りあったりするのですが、試合が終わったらきちんと挨拶をして相手選手と仲良くなれることが魅力です。礼に始まって礼に終わり、お互いを讃えることができることができるので良いスポーツだと思います。

▲留学経験を活かし英語で世界各国の選手と交流する水野さん(左から4番目)

―――相手にケガを負わされたりしても恨みなどをもつことはないのですか

ないですね、抱き合う選手なんかもいたりします。負ける時は相手のせいではなく自分の弱さが原因です。なので、脳震盪で倒された時や大きなケガをした時であっても相手が自分以上に練習してきたのだと思うので相手選手に恨みを持ったことは一度もありません。

―――空手をやっていて良かったことはありますか

自分に自信が持てるようになったことです。もともと、気持ちも弱く争い事も嫌いだったので、もし空手をやっていない自分が誰かと喧嘩になったら、その場から逃げ出すような人になっていたと思います。空手をやっていたおかげで自分が頑張らなきゃいけない場面でも自分の考えを主張したり、自信をもって行動できるようになりました。

―――空手を通して学んだことはありますか

辛くても逃げなければ目標は叶うということです。小さい頃は倒されてばかりでつらくて泣いたり、でもそこで辞めていたら今の自分はないと思います。練習はしんどいですし、試合で負ける度に自分を見つめ直すことや、努力量を上げることも全てつらいです。しかし、自分ができなかった小さな壁を1つ1つ乗り越えていけば大きい舞台に立てるということがわかりました。

正直、小中学生の頃は試合に勝てず才能がないと言われてきました。それに、気持ちも強くなかったので投げ出してしまうことも多くて……。それでも、諦めずに努力をしてきたから勝てるようになったのです。だから、つらいことから逃げないことですね。

―――練習スケジュールを教えてください

週6で練習しています。毎日日記をつけているのですが、例えばこの週の火曜日はジムで2,3時間トレーニングした後空手やって、自主練するので5,6時間。水曜日はジムとマッサージ。金曜日は合同練習、土曜日は父親と一緒に練習したり、日曜日も誰かと練習したり一日に2回、3回練習することもありますね。


▲ロシアの選手と一緒に練習する水野さん(右)

▲海外合宿でのトレーニングの様子

―――日記はどんなことを書いているのですか

大学1年の頃から始めて日記は3冊目になりました。日記にはサッカーの本田選手などプロアスリートが実際に行っていることを取り入れて自分の体調や体重、睡眠時間、トレーニング内容、課題や気持ちなどを毎日書いています。トレーニング内容は自分で考えているので最近は魔裟斗さんのトレーニングを参考に日記に書き留めてチェックを付けながらこなしたりしています。

―――実際に書いた日記はどんなときに見返すのですか

ノートの活用方法としては、不安になったときに過去の練習内容や量と比較したり、負けた時に勝った時のコンディションと比較したりと、ふと思いついたときに見返せるように書いています。また、辛いときにこそ「諦めないぞ!」など前向きな言葉書き続けて自分を励ますために使います。

―――得意技や自分の強みはありますか

得意技は突き(パンチ)です。強みとしては、外国人選手の方が体が大きいことから日本の選手は蹴りやパンチがきたとき回りながら避ける人が多いのですが、自分は昔から回らず後ろに下がらない真っ向勝負でやっています。怖さも多少はありますがそこは気持ちで負けないです。テクニックとかきれいに戦う選手もいますが自分は泥臭く、体力勝負で戦っています。それが自分の持ち味です。

―――初めて日本代表として世界大会に出ますが今どんなお気持ちですか

今までは「誰かのために頑張る」ことをテーマに小さい子に夢を与えたい、自分を支えてくれる人に恩返しがしたいという思いで頑張ってきました。

しかし、今回は今まで以上に勝つための努力をしてきたので「楽しむ」ことを一番に考えたいです。

―――世界大会の目標、意気込みをお願いします

小学校からの夢が「世界大会で優勝」だったのでようやく自分の夢を叶えるためのステージに立つことができました。

来年から就職して空手もあまりできなくなると思うので自分の引退をかけて「優勝」が目標です。

今までのことを振り返ると、練習や試合中に鼻血や骨折、脳震盪など様々なケガをして苦い思いをしました。試合中である限り、脳震盪を起こしても立って戦っていかなければなりません。トップ選手に何度も倒される悔しい思いを努力で乗り越えてようやく強くなれた思っても、強い人たちを越せない辛さがありました。大きなケガを乗り越え、食事や睡眠、トレーニングの量や質を見返して全てを徹底しこれ以上ないくらいやった今では誰よりも自信がありますし楽しみな気持ちが大きいです。

緊張もしますし恐怖もありますが、誰よりも楽しみたいと思います。

(文=石崎愛奈・法3)