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2024.01.09
スピードスケート

【スピードスケート部】悔しさ残る準優勝もパシュートで有終の美

〈第96回日本学生氷上競技選手権大会スピード競技=1月5日~7日 高崎健康福祉大学伊香保リンク〉


 スピードスケート部門のインカレが最終日に突入し、2000mリレーとチームパシュートが行われた。インカレ1位の高崎健大を20点差で追う専大は2000mリレーでリンクレコードを記録する走りを見せるも、同組の高崎健大にわずかに及ばず2位となり、総合優勝の可能性が消滅。しかし、最終種目のチームパシュートでは悔しさを晴らす滑りを披露しリンクレコードで1位を獲得。最後に前王者の意地を見せる形で大会を終えた。

▲準優勝で大会を終えた専大


 最終日はインカレならではの学校対抗による団体種目が行われた。優勝のためには同時出走となる高崎健大に勝利することが絶対条件となる厳しい状況の中、男子2000mリレーが開始。専大は軍司一冴(経営1・白樺学園)、高見澤匠冴(経営2・小海)、原純夢(経営4・佐久長聖)、野々村太陽(経営4・白樺学園)の4名がそれぞれ500mを滑り、バトンをつないだ。第1走者を務めたのは軍司。「1走目で差をつけよう」とスタートすると400m地点で1位と力強い滑りを見せトップランナーの役割を果たした。第2走者の高見澤以降は高崎健大を追う形となったが、「満足のいく滑り」を見せ、インカレラストランとなる原にバトンが繋がる。原も昨年のバトンミスを払拭する安定した滑りを見せ、スムーズにアンカー野々村へバトンが渡った。野々村は1秒差の高崎健大を追いかけ、両者一歩も譲らない激しいレース展開となったが逆転は叶わずゴールイン。リンクレコードを更新する滑りを見せたものの首位にはわずかに届かなかった。

 ▲トップランナーを務めた軍司 「尊敬する先輩たちを勝たせたい」と気持ちの入った滑りを見せた

▲第二走者を務めた高見澤 「今回は後輩に(チームを)引っ張ってもらった部分がある。来年は自分が引っ張りたい」と目標を語った

 ▲これがインカレラストランとなった原 「2、3年時と比べて成長を感じることができた」と専大での最後のシーズンを振り返った


 レースを振り返って野々村は「自分たちの全力を出すことができたレースだったと思う。素直に相手(高崎健大)を認めるしかない」と語った。専大で常にインカレ優勝を経験してきた野々村。「優勝することは簡単じゃないと全員が感じることができたので、この経験をプラスにつなげてほしい」と後輩たちに想いを繋いだ。原も「インカレ以外ではチーム全員が集まることがないので、みんなでリレーを滑ることができてよかった」と最後のインカレを振り返った。

▲アンカーを務めたのはキャプテン野々村 「チームを勝たせたかった」と悔しさをにじませた


 続いて行われた男子パシュートには蟻戸一永(経営4・白樺学園)、谷垣優斗(経営3・白樺学園)、笠原光太朗(経営2・帯広三条)の3名が出走。逆転優勝の可能性は消えてしまっていたが、蟻戸の「最後は優勝して終わろう」という声かけのもとレースに臨んだ。8周を通して先頭を務めたのは笠原。「個人種目では不甲斐ない結果しか残せなかったので、今日だけは気持ちを切り替えて頑張ろう」と覚悟をもってスピードを上げると、後方の谷垣、蟻戸が笠原を支える一致団結した滑りを見せた。6週目までは全体2位のタイムを記録していたが、ラストスパートでタイムを落とさない粘り強い滑りを見せトップに躍り出ると隊列を崩すことなくフィニッシュ。インカレ最終レースを見事に首位で終え総合準優勝となった。

 ▲パシュートを滑る3人(先頭から笠原、谷垣、蟻戸) 最後まで隊列を変えることなく滑りきった


 レース後、先頭を務めた笠原は「最後に優勝できてよかった」と明るい表情でレースを振り返った。蟻戸、谷垣も「笠原がよく粘ってくれたので、自分たちは(先頭の笠原を)押して支えるだけだった」と称えた。蟻戸は個人種目に出場することができず、悔しい状況の中でも「パシュートに全力で挑んで勝ちたかった」という想いが結実する結果を残した。最後のインカレを準優勝で終えることになったが、「みんな強いので、来年は全種目優勝する気持ちで臨んでほしい」と後輩へ向けてエールを残した。

▲試合を終えた蟻戸 他校の選手とも健闘を称え合った


 近藤監督は3日目を「リレーは勝ちたかったが、高崎健大が強かった。最後のパシュートで意地を見せてくれたと思う」と総括した。準優勝という結果について「選手が実力を出し切れない面もあったが、運も実力のうち。試合前の準備も含めて、自分たちの弱い部分が出たと思う」と反省点を挙げたが、「いい意味で選手の意識は変わってきている。今回の結果も踏まえて、世界と戦える選手に成長していってほしい」と選手のさらなる成長を願った。

▲選手を見守る近藤監督


 専大はナショナルチームに所属する選手が多く、全員で戦うことのできる大会はインカレが最初で最後だ。王者の重圧や世界を飛び回る中でのコンディション調整など、様々な壁を破って今まで優勝し続けてきた。主将の野々村は「個人の力ではどこにも負けないチームだと思う。今までは優勝校のプレッシャーもあったが、来年からは挑戦者の気持ちで大会を思いきり楽しんで欲しい」と後輩たちへ言葉をかけた。それぞれが敗北の悔しさを噛みしめ、王座奪還を目指して『チーム専修』の旅は続いていく。


▲パシュートの終了後には全選手による集団走が行われた

▲4年生の3人(左から蟻戸、原、野々村) 試合後に引退式が行われ、後輩たちに言葉を残した


文・写真=山縣龍人(法4)