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2022.09.29
野球

【野球部】信頼し合う”最高の相棒” 

2022年9月29日

今秋のドラフト注目のエース、菊地吏玖(経営4・札幌大谷)と、その女房役を務める夏目 大(文4・常葉橘)のバッテリーコンビに迫った。

▲エースの菊地(左)と相方の夏目(右)

▲菊地

▲夏目


【今秋のリーグ戦】

チームは秋季リーグ戦は3週目終了時点で6連勝。菊地は3登板で3勝。3完投2完封と圧倒的な投球を見せている。そんな菊地は4安打完封勝利を挙げた立正大との開幕戦を、「初戦は良い形で0で終わることが出来た」と振り返る。終盤のピンチでは、「1-0で、自分が(点を)取られてしまうとチームのムードが負けた時くらい悪くなる。立正大は一度波に乗ると止められないチームなので、点数だけは絶対にやらないように」とギアを上げた。ピンチになると出力を上げ、粘りの投球で得点を許さない。これが菊地の真骨頂だ。夏目も「ピンチでギアを上げるのが相手からしても嫌だと思う。変化球も試合中に試しながら、その日良かったものを上手く使えたのが良かった」と捕手目線で振り返った。

▲立正大戦で力投する菊地


カード初戦を任される菊地は、展開次第で2、3戦目の登板も考えられる。1人で1試合投げ抜くことに加え、先を見通して余力を残すことも求められるため、試合を通してのペース配分が重要になっている。ピンチの場面でギアが上がるのも、ペース配分を意識した結果だ。


国士舘大との第2週は、初回にいきなり先制を許す苦しい立ち上がりとなった。それでも2失点にまとめ、1人で投げ切った。「少し点を取られたが、夏目のリードに引っ張ってもらった」と話すエースに対して、「吏玖じゃなかったらもっと点を取られていたかもしれない」と夏目。信頼し合うバッテリーの姿が見られた。

▲国士舘大戦での2人

チームとして目指すのは一部昇格。そこに向けて重要になってくるのは最終週の東洋大戦だ。夏目は「個人的には怪我をしていて春は出場できなかった。チームも負けているのでやり返したい」と強い言葉で決意を表明した。「とにかくチームとしては8連勝して東洋大戦を迎えるのを目指している。勝ち続けることを大前提に臨んでいければ」と意気込んだ菊地。「勝ち続ける」という言葉は監督をはじめチームの各所から出てきており、この先のチームのキーワードになるだろう。


【2人の素顔】

そんな2人が初めてバッテリーを組んだのは、2年の秋季リーグ戦。菊地にとって初のリーグ戦登板だったが、この試合で完封勝利。「とにかくテンポが合うなと感じた。初めてだけど変なストレスがなく、投げやすかった」と好印象を受け、夏目は当時を「(ボールを受けていて)やりきれるかな、という感じがしていたが、気付いたら完封していてすごいと思った」と振り返った。そしてその試合から今に至るまで、「(バッテリーを)組んで負けた試合は記憶があるうちだと1試合くらいしかない」と2人は口を揃えた。極めて驚異的な結果である。

初めて組んだ時から相性が良かった2人。菊地は練習でボールのキレやコントロールなど、夏目の要求に応えられる準備はすべてしているため、試合でサインに首をふることはほとんどないという。そんな様子を「いつも引っ張ってもらっている。夏目の操り人形です」と笑う。「練習で濃密な対話を重ねていくうちに、お互いの考えを知ることができた」と話す夏目だが、もともとは序盤に調子が悪いと思った球種はそれ以降使わない考えを持っていた。しかし、菊地と話し合ってから「調子が悪くても、修正能力がある。実際に悪くても出すようにしたら良くなっていって抑えられた」と手応えを感じるきっかけになった。

▲試合中も入念に話し合う


お互いの持ち味について、菊地が「夏目は投手のことをよく見て自分からガツガツいくのではなく、合わせにいくのが上手い。その投手がもっている能力を最大限引き出せる力がある。夏目と組んだからこそ自分の力を見つけることができた」と感謝すると、夏目は照れくさそうに笑みを浮かべつつ、「菊地は窮地にすごく強い投手。ランナーがいない場面といる場面では球速が7〜8キロ違う。ピンチで粘って勝負強い力は他の投手にない」と称賛した。

さらに2人の性格について尋ねると、菊地は「すごく恥ずかしがり屋で、仲良くならないとわからない部分が詰まっているのが夏目」と楽しそうに話し、夏目は菊地に対して、「マイペースを貫くという感じ。わいわい明るくやっていく性格だが、けっこう寂しがりな要素が強い」という菊地の意外な一面をあらわにした。

▲取材に応じる2人。終始笑顔だった

最後に2人のこれからの意気込みや想いについて尋ねた。まず菊地は学生生活最後のシーズンになっていることにも触れ、「勝っても負けても、楽しくプレーして終わりたい。プレッシャーはあるものの、上のレベルでやる時にかかるプレッシャーとはかかり方が違う。また、夏目と組む試合も残りが限られるので、組める喜びを嚙みしめながら、まっとうしていきたい」。また、ドラフトに向けて、今までのアピールには手ごたえがあるといい、「ここからはチームを勝たせられる能力や、打者をどう制圧するかというところを見せて、残り2カード全勝するために、自分がどういう形で貢献していくかを念頭にやっていきたいと思う。そのあと、きたるべき時を待つだけ」と心境を明かした。

続いて夏目は「ドラフト注目投手と組めることはとても貴重な経験なので1戦、1戦を大事にしたい。そして1部に昇格して後輩たちにかっこいい姿を見せられれば良いなと思う。また、自分もいずれプロになりたいと思っているので負けずに頑張りたい」。また、相方の菊地がプロにいくことについては、「周りから菊地のことをいわれると、自分が褒められている感じがして、それがうれしい。菊地は本当に自慢の存在。大舞台に強い力をもっているので、プロにいってもやってくれると思う。たくさん応援にいきたい」と熱く語った。

お互いに「今まであった中で最高の投手・捕手」と認め合い、全幅の信頼を置く仲。残りの試合は僅かだが、共に戦える喜びを胸に”勝利”という作品を創り上げていく。

▲2人のこれからに注目だ


文= 河上明来海(文・2) 萩原健丸(経営・1)

写真= 相川直輝(文・3)高橋 尚之(経営・3)