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2017.12.09
ラグビー

【ラグビー部】3年ぶりの1部昇格!村田監督涙の胴上げ

 12月9日、埼玉県の熊谷ラグビー場Bにて関東大学リーグ戦1部2部入替戦が行われた。相手は1部8位の関東学院大。2年前、当時1部だった専大が入替戦で敗れ2部降格となった試合の対戦相手だ。専大にとっては因縁の相手との1戦となった今回の試合、前半から郡司健吾(経営2・日川高)のトライなどで得点を重ね、大きくリードを広げる。後半でもそのリードを守り切って43-38で勝利した。昇格を決めた選手らは歓喜にわき、主将の松土治樹(経済4・日川高)の目には涙。同じく感極まった村田亙監督も選手たちから歓喜の胴上げを受けた。

▲試合終了を告げるホイッスルが鳴り、喜びにわく選手たち(撮影=石崎)


〈スターティングメンバー〉

1石田楽人(経営2・桐蔭学園高)

2中野勝太(商4・東福岡高)

3梶原瑛(商4・日川高)

4山極大貴(商2・保善高)

5西村龍馬(経営4・高鍋高)

6坂本洋道(経営3・國學院栃木高)

7松土治樹(経済4・日川高)

8徳田隆之介(経営4・東福岡高)

9髙橋昴平(経営3・長崎南山高)

10郡司健吾(経営2・日川高)

11夏井勇大(商2・秋田中央高)

12水野佑亮(商4・法政二高)

13光吉謙太郎(商3・佐賀工業高)

14池田大芽(経営4・秋田中央高)

15松浦祐太(商3・小倉高)



 試合会場となった熊谷ラグビー場Bには「専大グリーン」の応援グッズを身に着けた観客を含む約2500人が駆けつけ、満員となったスタンドからは早くから熱気が立ち込めていた。

 試合は前半、専大が強気な姿勢を見せて果敢に攻め込むも、互いにこう着状態が続く。そんな中18分に郡司健吾(経営2・日川高)が先制のトライを決めた。郡司は続く23分にも連続でトライを決め、試合の流れを一気に呼び込んだ。

▲先制トライの郡司(撮影=飛田)

▲トライを決めた郡司(右)に選手たちが駆け寄る(撮影=久保)


 これで勢いに乗った専大はさらに28分、西村龍馬(経営4・高鍋高) がボールを持つとそのまま相手を突き放す走りでトライを決め、これで21-0とさらにリードを広げる。32分にはミスから初めて相手にトライを許すも、36分には水野佑亮(商4・法政二高)が、前半終盤40分には郡司が今日3つ目となるトライを決め、33-7と大きくリードした状態で前半を終えた。

▲西村のトライでさらに相手を突き放した(撮影=飛田)

▲水野が相手の守備を振り払いトライを決める(撮影=飛田)


 しかし、後半になると息を吹き返した関東学院大にわずか開始1分でトライを許してしまう。村田監督が「後半は浮足立ってしまい、スタートに失敗した」と話すように、そこから15分足らずで2度の追加トライを決められてしまった。

 流れを変えたい専大は、松浦祐太(商3・小倉高)のキックで得点を狙う。松浦のペナルティーゴールが成功して36-26とすると、25分には池田大芽(経営4・秋田中央高)がトライに成功。悪い流れを断ち切ったように見えた。しかし、ここから専大は関東学院大の猛反撃に遭うことになる。31分、38分にそれぞれトライを決められ、最大26点あったリードも43-38とついに5点差となってしまった。残り時間わずかながらトライで同点、その後のキックが決まれば逆転という展開に会場の緊張感も高まる。応援席から専修コールが鳴り響く中、選手たちは最後の力を振りしぼる。意地でもトライをさせまいと必死に守り抜き、ついに試合終了のホイッスルが鳴った。選手たちはグラウンド上で喜びを爆発させ、専大はついに念願の1部復帰を成し遂げたのだった。

▲試合終了間際、観客席もこの日1番の盛り上がりを見せた(撮影=石崎)

▲試合後のあいさつを終え、観客席に向けて両手を突き上げる松土(撮影=飛田)


◎フィジカルで圧倒 下半身強化が実を結んだ


 関東学院大を僅差で下し、昇格を決めた専大。2部リーグ完全優勝、さらにはこの入替戦で結果を残すことができた要因には体を鍛え上げてフィジカル面を強化したことにあった。

 今年は元東芝の竹内明彦さんをストレングスプロコーチとして招へい。週1回ウェートについての指導をもらい、指導日を含めて週4回ウェートトレーニングを試合直前まで実施し、特に下半身強化につとめた。「正確な数字は測っていないけど、みんなそれぞれ3割くらいは上がっているはず。竹内さんを呼んだ成果が出た」(村田監督)と、簡単に当たり負けしない強い体を作り上げた。その結果ケガ人が減り、この試合でも大きなケガ人は出なかった。ケガ人が出てしまい、万全な状態で戦うことが難しかった去年のシーズンと比べて、大きく変化した部分でもあった。

▲当たり負けしない体を作り上げ、試合でもフィジカル面で圧倒した(撮影=藤森)


◎精度バツグン!チームの流れ呼び戻した松浦のキック


 前半から攻撃で試合の流れをつかんだ専大。15番松浦も攻撃面で勝利に大きく貢献した選手の1人だ。松浦がこの試合でキックをした回数は7回。そのうちゴールを外れたのは角度が厳しかった1本のみだった。ハイライトは相手に流れが行きかけていた後半18分。敵陣でPKを獲得するとチームはキックを選択した。この場面、松浦は「人生で1番緊張した」と振り返るも、「絶対に決めてやるという思いが緊張を上回ることができた」と、安定したキックで得点を獲得。後半のスタートでつまずいた専大だったが、このキックで再び流れを取り戻した。

▲正確なキックでチームの勝利に貢献した松浦(撮影=高田)



 専大が最後に1部昇格を果たしたのは2014年のときのシーズン。村田監督も「3年前はマグレがあった部分もあるし、10回やって3回勝てるくらいのチームだった。けれども、今年は10回やって7回は勝てるくらいの力はある」と話すように、来季の目標はあくまで1部残留ではない。目指すは1部リーグで3位以上、そこからの大学選手権出場だ。その道のりは決して簡単なものではないが、入替戦で自信をつけた選手たちなら1部の舞台でもきっと躍動してくれることだろう。

(撮影=藤森)


試合後のコメント


『専大の応援は日本一』村田亙監督

「(今の気持ちを聞かれ)嬉しい以外ないよ。最後まで諦めず戦ったこと、総合力で上回っていたことが勝因だと思います。郡司が前半3つトライを決めて、彼がいい仕事をしてくれるのは想定内ではありましたけど、前半で26点の差をつけられて、最高のアドバンテージでした。前半で大きく差を広げられたのが大きかったです。2年前のリベンジという思いはもちろんあったし、このチームが1部で通用するところを見せてやろうと思って挑みました。しっかりと点を取れたのは評価できると思います。FWの松土、徳田、西村、梶原、この4人は特にいい経験ができたと思います。昇格も降格も経験して、そして最後にもう1度自分たちの力でチームを昇格させて卒業する。いい仕事をしてくれました。選手には『自信が過信にならないように、打ち合いで負けないこと、自分たちのやってきたことをやれば結果はついてくる』ということを言いました。(応援について)本当に専大の応援団はすごいです。ずっと来てくれた人もいたし、ファミリーみたいなものですね。選手も応援に後押しされました、感謝したいです。日本一の応援ですね。来年は大学生にも来てほしいですね。期待に応えられるようにがんばります」

(撮影=八代)


『勝つことだけを考えていた』松土治樹主将

「勝って、安心してます。ホッとしました。緊張は若干ありましたけど、いつも通りのプレーは前半からできていたと思います。試合中は勝つことだけを考えていました。相手に押される展開になったときは『今までやってきたことをしっかりやりきろう。特別なことをやるのではなく、ずっとやってきたことをつらい状況でも我慢してやりきろう』と言いました。(後輩たちへ)来年から1部で、今年よりつらいシーズンになると思いますが、勝ってほしいですね。自分がキャプテンとしてやってこれたのはメンバーのおかげなので、お礼を言いたいです。1年間ありがとう」

▲試合後の円陣で思わず目頭を熱くする松土(撮影=飛田)


▲松土も選手たちから祝福の胴上げを受けた(撮影=高田)


1試合3トライの大活躍 郡司健吾

「1年間入れ替え戦で勝つということをチームの目標としてやってきました。試合を重ねるたびに反省点が出てきて、1部に上がるこの日のためにミーティングを重ねてきたので、その準備してきたことを上手く表現できました。チームとしてフィジカル強化に取り組んできて、今日の試合でもフィジカル面で優位に立てたのが良かったです。自分は司令塔なので、自分がトライを取って勢いが付けば、チームに流れがいくと言われたので、どんどん仕掛けていきました。1年間フィジカル強化を目標にやってきたので、これからもそれを継続して大学選手権を目標に次のステップに臨めるようにしたいです」


正確なキックで勝利に貢献 松浦裕太

「1年間やってきたことが試合に出せて良かったです。つらいこともありましたが仲間と共に乗り越えることができて、それが結果にも現れたのだと思います。後半のペナルティキックは人生で一番緊張しましたが、絶対に決めてやろうという強い気持ちで決めることができました。キックオフから数分間は緊張していましたが、それでも普段通りの気持ちでプレイできたのが良かったです。来季から1部に上がるので、勝つことももちろんですが、大学選手権に出場できるように頑張りたいですね」


(文章=白鳥順也・経済1、飛田翼・文3)