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2016.12.18
フェンシング

【フェンシング部】全日本選手権大会優勝 菊池小巻インタビュー


 12月4日に行われた第69回全日本フェンシング選手権大会個人戦の女子フルーレで、菊池小巻(商2・翔陽)が初優勝を果たした。また、菊池は11月16日に行われた全日本学生選手権(大山崎町体育館)、10月14日に行われた関東学生選手権(駒沢公園体育館)でも優勝し、今年に入って目まぐるしい活躍をとげている。今回、専大スポーツでは全日本選手権を終えた菊池を直撃。インタビューを行い、大会について振り返ってもらった。

▲優勝カップを手にする菊池(写真左から2人目)


 自身の謙虚さが生んだ優勝だった。優勝を決めた直後のインタビューで菊池から最初に聞かれたのは、「まだ(優勝を)実感していないです」という一言だった。しかし、その表情には充実さを感じる事ができた。「自分から、優勝したいという欲を出さないようにした」と謙虚な姿勢で大会に臨んだことを強調した菊池。その背景には、昨年の大会で思うような試合ができなかったという悔しい経験があった。

「去年は自分の実力を発揮する事ができずに試合が終わることが多かった。今年の大会はそういった試合のないようにしたいと思った。優勝という結果は本当に考えてなくて、周りから優勝おめでとうという声をかけられて、『あ、優勝したんだな』と初めて実感できた」と菊池は振りかえった。



 菊池は準決勝で西岡詩穂さん(ネクサス)と対戦。西岡さんは今年のリオオリンピックに日本代表選手として出場、この大会でもおととしから2連覇中と、日本女子フルーレを代表する選手である。大会3連覇のかかった相手との対戦に、プレッシャーは無かったかという問いに対しては「私もリオにスパーリングパートナーとして帯同した経験があり、そういうこともあって西岡さんのことはよく知っていた。今回の大会は西岡さんと対戦するところまで勝ち進むことを目標にしていた」と話し、「西岡さんは3連覇もかかっていたし、正直プレッシャーはあった」と答えた。

 西岡さんは手足のリーチが長く、他の選手よりも遠い位置からでも攻撃を仕掛ける事ができるのが最大の特徴である。菊池はリオ五輪に帯同するなかで、過去の試合などから動きを分析して今回の試合に挑んだ。

 試合開始早々、菊池は西岡相手に3ポイントを連取。「防御のとき、意識して後ろに下がろうとしたのが大きかった」と話すように、遠い距離からの攻撃を逆に利用し、カウンターを次々と成功させた。菊池は序盤から自分のペースで試合を展開し、結果は15-7で勝利。試合が決まるまで1度もリードを奪われなかった。菊池は試合を振り返って「重圧はあったけど、西岡さんに勝てたことは自分にとって大きな自信になった」と話した。



 続く決勝戦の相手は高校生チャンピオンの東莉央さん(和歌山北高校)。東さんもまた、ジュニアワールドカップで菊池と共に日本代表としての出場経験があり、お互いがお互いをよく知っている者同士の対戦となった。

▲決勝戦の様子。菊池は写真右側

 「互いを知っている相手だからこそ、こっちがしかけてきたら、相手はこう動いてくる、という探りあいの試合になった」と菊池は話す。第1ラウンド、菊池は準決勝に引き続きポイントを先取すると、相手のペースに持ち込ませることなく、序盤からペースを握る。続く第2ラウンドではやや苦戦するも、相手の攻撃には後ろに下がることで応戦。最後のポイントを取って優勝を決めると菊池は力強く吠えて喜びを全身で表現した。

 最終的なスコアは15-8。準決勝に引き続き、大差をつけての勝利に菊池は「勝ち負けは考えず、自分が大会まで徹底してやってきたことをやりきって試合の内容を良くしたいと思っていた。点差は気にしないで戦い、終わってみたらこの差になっていた。それでも、大差で勝てたのはよかった」と満足げに振り返った。


 菊池は今大会の勝因に、「試合の中で考えるプレーができたこと」を挙げている。試合の中で考えるプレーを意識するようになったのは大学生に入ってからのことだった。「高校生まで体で覚えた感覚に頼っていた。でも、大学に入るとそれでは勝てなくなっていった。勝つためには自分で考えないといけない、と思うようになってからは試合の展開や全体の構成を頭で考えるようにした」と話す。

 大学に入ってから自分で考えるプレーを実行するようになると、菊池はフェンシングがよりおもしろく感じるようになったという。

「考えてプレーするようになってから、相手とのやり取りがより深くなって、技の出し合いが広がった。例えば、自分から攻撃をしかけると、相手はおそらくこう動いてくる。こう動いてくると次の一手がしかけやすくなる、だから、次はいろんなところからポイントを取る事ができる。こういう風に、相手の動きを予想して頭を使ってプレーすることが楽しく思えるようになった」と話すように、これまでより頭を使うプレーをすることで戦術にも広がりが生まれたようだった。


 試合の流れを読み取り、次の一手を考えるプレー技術を身につけ、さらなる力をつけた菊池。12月23日からは全日本の団体戦も行われる。菊池小巻の今後の活躍に注目してほしい。


(飛田翼・文2) ※写真は女子フェンシング部より提供